オックスフォード白熱教室「第4回 数学が教える“知の限界”」
数学の白熱教室(再放送)の最終回を見ました。
番組のホームページでは、このように紹介されています。
シリーズ最終回もミステリアスな数学の世界をデュ・ソートイ教授が案内する。
数学は未知の世界を解き明かす鍵となってきたが、同時に、「知ることが原理的に不可能な世界がある」という驚くべき“知の限界”まで明らかにした。
無理数、カオス理論、不完全性定理、無限・・・
古代ギリシャから現代にいたる天才数学者たちが挑んできた「知の限界」に関する数学を、愉快なゲームも交えながら解き明かす。
今回も、盛りだくさんの内容で面白かったのですが、私の理解不足で、どの話題も簡単に紹介できるような代物ではないのが残念です。
それだと終わってしまいますので、ひとつだけ紹介します。無限の「個数」の話です。
1,2,3,4,5,…… と続く自然数は、どこまでも限りなく続くので、無限に存在します。
偶数(2,4,6,8,10,……)もまた無限に存在します。その個数は自然数の半分しかなさそうですが、1番目、2番目、3番目、……という順番に並べられる(自然数とモレなくペアができる)ので、自然数と同じ個数が存在すると考えます。
整数全体(……, -3,-2,-1,0,1,2,3, ……)もまた無限に存在します。偶数とは逆に自然数の2倍の個数がありそうですが、0,1,-1,2,-2,3,-3,……というふうに、これも1番目、2番目、3番目、……という順番に並べられる(自然数とモレなくペアができる)ので、自然数と同じ個数が存在すると考えます。
このように、無限の世界では、自然数も偶数も整数も同じ個数だと考えます。
では、有理数(分数全体)ではどうでしょうか? 整数に比べむちゃくちゃたくさんありそうに思えます。0と1の間にだけでも、1/2とか、999/1000とか、1億分の1とか無限個の分数が存在します。しかし驚くべきことに、これも、1/1(分子分母を足して2), 1/2,2/1(分子分母を足して3), 1/3,2/2,3/1(分子分母を足して4), …… というふうに、すべての分数を順番に並べられます。ということは、有理数(分数)も自然数とモレなくペアができるので、同じ個数だということです。この話を初めて聞くとアンビリーバブルに思えますが、数学上の正しい命題です。
だんだん話が難しくなりますが、あと少しです。
では、√2やπなどの無理数を含む数直線上にある実数全体ではどうなのでしょうか? 超長くなるので説明は割愛しますが、有理数のように順番に並べることが不可能であり自然数の個数より真に多く、無限の度合いが強いということが分かっています。
つまり、無限の個数についても大小関係があり、「自然数(整数、有理数)の個数」<「実数の個数」ということです。
ここで問題になったのが、「自然数の個数」より大きく「実数の個数」より小さい無限の個数は存在するのだろうかという疑問です。
「存在しない」という仮説の証明が試みられていましたが、実は、この仮説については「証明することも、反証することもできない」ということが証明されているのだそうです。なんだかよく分かりませんね。数学の世界では「真の命題であるにも関わらず、証明することができない命題が存在する」ということのようです。「不完全性定理」とはそういったようなことを述べているらしいのですが、私の頭も限界になってきました。
これ以上書くとボロが出ますので、この辺で終わります。
今回の番組のうち私が取り上げた話題については、縦書きの新書で数式を使わずに分かりやすく書かれている、高橋昌一郎先生の『理性の限界』や『ゲーデルの哲学』が非常に面白いので、オススメです。
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ではまた…