集英社文庫編集部『短編工場』を読んで、短編小説に目覚めました。
これまで、短編小説というものを、無意識に長編より低く位置づけていたせいなのか、積極的に読みたいとは思いませんでした。
よく考えると、クラシック音楽に対しても同様のスタンスなので、聴くのはほぼ交響曲に限られていて、短い曲、小編成の曲、ピアノ曲などには、あまり興味がありません。(それではいけないと思ってはいるんですが…)
今回、たまたま持っていた集英社文庫『短編工場』を読んで、認識を改めました。今さらですが、短いのもなかなかいいですね。
- 作者: 集英社文庫編集部
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/10/19
- メディア: 文庫
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突然目覚めたわけではなく、きっかけは、実は過去のエントリーに少し伏線があります。
中島敦『山月記』と安部公房『公然の秘密』 - igawa's Blog
むしろ短編の方が、無駄な贅肉がなく文章が研ぎすまされている(もちろん作家次第ですが)ので、短時間で内容の濃い物語を体験することができ、お得な気もします。
今までそれほど読んでないということは、美味しい作品が宝の山のようにあるということですから、探索する楽しみが増えました。
本書に収録されていた各小説の内容には触れませんが、個人的には桜木紫乃『かみさまの娘』と奥田英朗『ここが青山』がヒットしました。
短編を読んでいると、作者がひらめいた小さな一つの素材(アイデア)が物語の核心となっていることがよく分かります。それを面白い作品の形にすべく、丁寧に味付けしながらストーリーを組み立てていく作者の姿が何となく想像できるという、短いからこそできる別の楽しみ方にも気づきました。
最後に、収録されている作品名をあげておきます。
- 桜木紫乃『かみさまの娘』
- 道尾秀介『ゆがんだ子供』
- 奥田英朗『ここが青山』
- 桜庭一樹 『じごくゆきっ』
- 伊坂幸太郎 『太陽のシール』
- 宮部みゆき 『チヨ子』
- 石田衣良 『ふたりの名前』
- 乙一 『陽だまりの詩』
- 浅田次郎 『金鵄のもとに』
- 荻原浩 『しんちゃんの自転車』
- 熊谷達也『川崎船』
- 村山由佳 『約束』
ではまた…