igawa's Blog

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ビール業界進出 壮絶なドラマ『佐治敬三と開高健 最強のふたり』

前回、戦後20年の復興と経済成長の話を書きましたが、そのエントリーを書くきっかけとなったのは、脳科学者・池谷裕二さんの新聞記事でした。その記事は、実は表題の本の書評でしたので、今回はその本の紹介です。 

ウィスキー販売が軌道に乗ったばかりのサントリーが、ビール産業に乗り出し、紆余曲折を経て成功に至る道程をバックボーンに、高度成長期の日本をあぶり出す。

池谷さんは、人類史上でも稀有な時代変貌をとげた日本を描いた本書について、いったん上記のように要約しますが、本書の魅力を伝えるには不十分だとして、こう言い直します。

サントリー社長・佐治敬三と同社員にして芥川賞作家・開高健という、この時代が醸出した豪傑が巡り会い、複雑に絡む。そのプロセスの描画が鮮烈なのだ。赤裸々な記述が臨場感を生み、活字の海で二人は生き生きと遊ぶ。読み進めるのがとんでもなく楽しい。養子縁組の謎を解く過程は推理小説さながらだし、ベトナム戦争の一幕は、戦後70周年を迎えた今だからこそ読む価値がある。

池谷さんの紹介文が上手いのと、開高健の『輝ける闇』を読んでいたこともあり、ぜひ読みたくなりました。

 

ではまた…

 

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佐治敬三と開高健 最強のふたり

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