igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

「よみうり堂」の書評から選んだ『鳩の撃退法』ほか2冊

日曜日は、新聞に掲載される書評を読んで、気になる本があればメモがてら紹介することにしたいと思います。

 

佐藤正午『鳩の撃退法』上下(評:エッセイスト 平松洋子

鳩の撃退法 上

鳩の撃退法 上

鳩には困っていないので、タイトルだけ見てあやうくスルーするところでした。

書評を読んでも「鳩」と何の関係があるのか分かりませんが、評者によれば「精緻な構造で、読む快楽が味わえる」上下巻約千ページの小説です。

佐藤正午という作家は知りませんでした。小説巧者で、寡作らしく本書は5年ぶりだそうです。 

複雑に入り組むストーリー、謎と疑念の増幅、緩みのない展開、会話の妙が描き出す多彩な登場人物。いやおうなしに物語に巻き込まれ、全編に仕掛けられた人を食う笑いも、へんに癖になる。

著者のこんな本も発見しました。これも読んでみたい。 

小説の読み書き (岩波新書)

小説の読み書き (岩波新書)

 

佐々木克『幕末史』(評:考古学者 松木武彦)

幕末史 (ちくま新書)

幕末史 (ちくま新書)

歴史が不得意で戦国も幕末も詳しくないのですが、大河ドラマ「花燃ゆ」は吉田松陰の妹が主人公なので今年は幕末を少しは知ろうと思っていました。タイトルがそのまんまなので、全体像を理解するためにいいかもしれません。

人の心はけっこう懐疑的だから、そんな「神話」の裏にある真実に近づいてみたくもなる。それを手引きするのが歴史学の役目か。記紀の物語はともかくとして、幕末〜明治維新の「神話」についてそんな役目を果たしてくれる最新のコンパクトな成果がこの本だ。 

同じタイトルの本もあります。どちらがいいのでしょうか。 

幕末史 (新潮文庫)

幕末史 (新潮文庫)

 

樺山紘一『歴史の歴史』(評:旧約聖書学者 月本昭男) 

歴史の歴史

歴史の歴史

時間に追い立てられるようにして日々を過ごしている私たちですが、いつから人間は管理された時間を生きるようになったのでしょうか。

本書によれば、そうした時間観念の変化は「教会の時間」から「市場への時間」へという形で、まずは中世から近世に至るヨーロッパで起こった。社会の近代化は私たちの時間観念を大きく変質させたのである。

現代に生きる私たちがあたりまえと考えている事象や観念が歴史に立ちあらわれてきた情景を読者の前に鮮やかに描き出してみせる。そこには、日本を代表する歴史家の円熟味がいかんなく発揮されている。

時間といえば、この本を思い出します。 

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

 

ではまた…