igawa's Blog

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下重暁子『家族という病』

みなさん、自分の家族のことを知っているでしょうか?

同じ家で一緒に暮らしているわけですから、「よく知っているに決まっているではないか」という答えが返ってきそうです。

 

ほんとにそうでしょうか?

親しい友人・知人とは、わかり合おうと努力するせいか、お互いのことも知っている場合が多いけれども、家族の場合は、同じ家で長年暮らしたからといって、いったい何がわかるのだろうか、と本書で著者は疑問を投げかけます。 

家族という病 (幻冬舎新書)

家族という病 (幻冬舎新書)

 

子供は親に心の中を見られまいとするし、心配をかけたくないという思いがあります。親は子供がどこか変だと気づいても、問いただすことを避けてしまいます。
いじめや家庭内暴力がなどが報道されると、もっと親子が日頃から話し合っていればとか、相談できる雰囲気があればと言われますが、著者は「土台無理」だと断言します。

 

本書は、「父、母、兄の三人の家族と、わかり合う前に別れてしまった」著者が、一家団欒という幻想に取り憑かれている日本人に対して、ほんとうの家族を知る近道を教えてくれる一冊です。


以下は、参考になった箇所のメモです。

私は、子は親の価値観に反発することで成長すると信じている。大人にとってのいい子など、ろくなものではないと思っている。最近、反抗期のない子が増えているというが、こんなに気持ち悪いことがあるだろうか。親の権威や大人の価値観に支配されたまま、言いなりになっていることは、人としての成長のない証拠である。仲の良い家庭よりも、仲の悪い家庭の方が偽りがない。正直に向き合えば、いやでも親子は対立せざるを得ない。どちらを選ぶかと聞かれれば、私は見栄でつくろった家族よりも、バラバラで仲の悪い家族を選ぶだろう。(p36)

 

過度な期待などしてはいけない。血がつながっているとはいえ、違った一個の人格なのだ。個性を伸ばすためには、期待で、がんじがらめにしてはいけない。夫や子供に期待することも相手をしばることに他ならない。期待通りにならないと、落胆が激しく、愚痴や不満だらけになる。自分以外の個に期待してはならない。他の個への期待は落胆や愚痴と裏腹なのだ。(p41)

 

ではまた…