「象は鼻が長い」という文の主語は何か?
問題です。
「象は鼻が長い」という文の主語は、次の4つのうちどれでしょうか?
- 象
- 鼻
- 象と鼻
- なんとも言えない
1~3の回答をした人の意見はこんな感じだと思います。
- 文の頭で「象は」で始まりますから、主語は当然「象」でしょう。
- いや、述語である「長い」に対するものが主語なので、主語は「鼻」しか考えられません。
- 確かに「長い」に対する主語は「鼻」かもしれないけど、「鼻が長い」という部分に対する主語は「象」なので、「象」も「鼻」もどちらも主語だと言えます。
どれも正しそうです。
「~は…だ。」とか「~が…する。」の「~」に相当する言葉が主語であると小学校か中学校のときに習っていますので、それぞれの意見は正しそうにみえますが、答えが3通りもあるのはおかしいですね。何が正解なのでしょうか。
実は、この「象は鼻が長い」という文は、日本語業界(?)において論争になった有名なものです。いまでも、明確な決着がついていないようです。(たぶん)
ですので、冒頭の問題の答えは「なんとも言えない」となります。
問題を出しておきながら、スッキリした答えではなくて申しわけありません。
このモヤモヤ感を晴らしてくれるのが、カナダで日本語を教えている金谷武洋さんが書いた『日本語に主語はいらない』という本です。日本語に主語という概念は不要だという説を展開したものです。
日本語に主語はないと仮定すると、「象は鼻が長い」など文法的に説明不能だった点が見事にクリアになります。
賛否両論のようですが、以前読んだときは著者の意見に全く同感でしたので、再読してから内容を紹介したいと思います。