igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

「よみうり堂」の書評から選んだ『国語と教育』

どちらかというと理系人間ですが、なぜかこの歳になって日本語とか文章術とか国語の話題にも興味があっていろんな本を読んでいます。  これまでも次のようなエントリーを書きました。

 

ということで、今日はこの一冊。 

柳田国男『国語と教育』(評:立教大教授・批評家 前田秀樹 

国語と教育

国語と教育

本書は、太平洋戦争のさなかから戦後の安定期に入る頃まで(1943年〜1961年)に発表された13編の講演録、談話、論考です。

全編を通じて柳田国男が訴えようとしているのは、結論だけ言えば口語の国語教育を徹底して重んぜよ、ということだそうです。

漢語が氾濫するわけのわからぬ書き言葉が、国語教育の中心に居座り、あたりまえの暮らしに生きる人々の言葉、「肺腑を突くように」心に沁みて通じる言葉は、学校の外にはじき出されたのである。その教育を引き受けるものが、ただ親兄弟の躾でしかないのだとしたら、どうしてそこから国語の豊かな共有が起こり得ようか。

柳田が悪しき文語の影響としてあげる例に、現在の読者は驚くだろう。漢語を乱用した何々「する」の動作表現、何々「的な」の形容語、何々「性」といった抽象名詞、これらはみな彼が憎むものだ。その憎しみと背中合わせに、学問の辛苦と詩人への魂がある。

 

ではまた…