igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

「よみうり堂」の書評から選んだ『デブを捨てに』ほか1冊

3週間ぶりに、「よみうり堂」の書評から気になった本です。

 

アレックス・ベロス『どんな数にも物語がある』(評:東京大教授・生物心理学者 岡ノ谷一夫 

どんな数にも物語がある 驚きと発見の数学

どんな数にも物語がある 驚きと発見の数学

評者は、「数学ができないことを標榜する人が多い割に、書店に行くと一般向けの数学書が多い。(中略)みんなひそかに「数学がわかりたい」と思っているのだろう」と書いています。確かに本屋に行くたびに一般向けの数学に関する本が意外と多いことに気がついていましたが、てっきり私が数学の本があるコーナーに足を運んでいるからと思っていましたが、気のせいではなかったようです。

そうこうしているうちに、オイラー恒等式がついにわかってしまった。この式がなぜこのような美しさを持っているのかが、すんなりと腑に落ちた。僕同様に数学羨望を持ち、とくにオイラー恒等式を死ぬ前にわかりたいと思っている人にはまず本書を薦める。 

 

平山夢明『デブを捨てに』(評:作家 宮部みゆき 

デブを捨てに

デブを捨てに

すごいタイトルですが、本書は4話収録の短編集で第3話にはもっとどうかと思う言葉がタイトルに使われているそうです。ちょっと気になります。

この赦しや解放は、美しいものでも優しいものでもない。常識的に考えたら、ひどい。でも、読了後に「ひどい」と感じないのは、その「ひどい」が、話が始まった時点のひどさと方向を変えているからだ。素材はいわゆる「嫌ミス」とかぶるけれど、ここには「ダメ」はあっても、「悪」はない。しょうもない現実だけど、人はたまに(運良く)それを乗り切れるもんだよという希望がある。妙にポップに歌いながら、しょうもない現実の条理を越えていく平山作品は、不幸と希望のファンタジーなのだ。

 

ではまた…