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igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

マップラバーから、マップへイターへ。

生物学者 福岡伸一著『福岡ハカセの本棚』を取り上げたエントリーで、福岡ハカセお薦め本の中から気になる20冊を紹介しました。実は、この本の「はじめに」に書かれていたことの中に、わたしにとって重大な発見がありました。 

福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書)

福岡ハカセの本棚 (メディアファクトリー新書)

人間には、地図をこよなく愛し、目的地に向かうときに必ずそれを頼りにするマップラバー(map lover)と、最初から最後までそんなものを必要とせず、自分の勘と嗅覚で目指す場所にたどり着けるマップヘイター(map hater)の二つのタイプがいる、という話です。

マップラバー(地図好き)は鳥瞰的に世界を知ることが好きで、起点・終点、上流・下流、そして東西南北を大切にします。行動に移る前に世界全体の見取り図を手にしたい、というか、そうしないと安心できないのです。一方、マップヘイター(地図嫌い)は世界の全体像なんかいらない、むしろ地図など面倒くさい、自分の前後左右という関係性だけで十分やっていける、その方が簡単だと思っています。

 

わたしは、間違いなくガチガチのマップラバーです。ショッピングモールに行った場合は、まずフロアマップを見て、自分の位置と目的の店の位置を確認しないと行動ができないタイプです。マップヘイターのように、地図や案内板を頼りにせず、周りの様子を見ていきなり歩き始めるなどということはできません。

地図のような「全体像」を大切にするマップラバーの方が、「ローカルな関係」を大切にするマップヘイターよりも、一見賢く生き残れそうですが、実はマップラバーこそが方向オンチで道に迷いやすいのです。まさにわたしがそうで、迷子になったら、地図で自分の場所が特定できないと歩き出すことができません。東京出張のときなど、地下鉄から降りて地上に出ると、どっち側に動けばいいか分からなくなります。きっとマップへイターな人は、周りの状況と直感で「たぶんこっちだろう」と目的地へ向かうことができてしまうのだと思います。

 

振り返ってみると今まで、人はマップラバーであるべきだと思い込んでいたような気がします。自分が勝手に信じているだけなら問題ないのですが、その価値観を無意識に押しつけていたかもしれません。夫婦間でタイプが異なると、旅行やドライブに行ったときなど、険悪な雰囲気になりそうです。

今後は考えを改めて、マップへイター的な生き方を意識していくつもりです。しかし、なかなか過去からの習性は簡単には変わらないでしょうから、少しぐらい極端に行動しないとあまり効果がないかもしれません。でも仮にそれほど変われなくても、この事実に気づいたことがよかったと思っています。

もちろん、ものごとはすべてそうですけど、1か0かではなく、その間のグレーゾーンのどこかに最適なポジションがありますから、マップラバーを否定しているわけではありません。特に、ビジネスの世界では組織で動きますから、自分の勘と嗅覚だけで仕事ができるわけがありません。全体像と現在置かれている位置を把握することは当然必要ですね。

 

ところで、なぜマップラバーとマップへイターの話が生物学者の福岡ハカセにとって大事かというと、実は、細胞がもつDNAは全体像を示すマップなどではなく、細胞は単に周りの空気を読みながら(隣の細胞と交信しながら)皮膚になるのか内臓になるのか◯◯になるのか、決めているのだそうです。つまり、細胞はマップラバーではなく典型的なマップヘイターと言えます。

この辺の生物学的な面白いエッセイは、講談社現代新書の『世界は分けても分からない』に詳しく書かれています。 

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

 

ちなみに今日(4月19日)は、地図の日。
伊能忠敬が測量旅行のため江戸を出発したことから「地図の日」とされているそうです。

 

ではまた…