デザインに関する名著『誰のためのデザイン?』の増補・改訂版が出ました。
以前読んだ『誰のためのデザイン?』に、増補・改訂版が出ていることを知りました。モノのデザインに携わる人にとっては外せない本として有名ですが、なぜいま増補・改訂版なのでしょうか?
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D.A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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本の帯にはこのように書かれています。
最初の版から25年の間に、
たくさんのことを学んだからである。
テクノロジーも大きく変化した。
最良の製品が常に成功するわけではない。
どんな新しいテクノロジーが出現するかを予測できる人もいない。
だが確実に予測できるのは、本書に述べるデザインの原則は
変わらずに残るということである。
この説明では、何だかよく分かりませんね。
ちょっと調べてみると、二つの章が追加され、例が変更されていることが分かりました。ただ、これぐらいでは、訳が読みやすくなっていたとしても、旧版の所有者が3564円もの追加投資をしてまで欲しいとは思いません。
しかし、出版社のサイトで見つけた増補・改訂版の「日本語版への序文」を読んで、考えが変わりました。
その理由はというと…
- いつかは再読しようと思っていましたが、すぐにでも(もちろん新しい改訂版で)もう一度読んでみたくなった。
- ある具体例を示す写真が見つからず原著(英語版)には載っていなかった写真が、日本語版には掲載されている。(しかも群馬で撮った写真)
- 日本の翻訳者チームがすごいので、その成果としての新版を読みたくなった。
3点目ですが、どうすごいかと言うと、こういうことです。
- 著者が原稿を書いている途中の段階で翻訳を始めている。(つまり、著者が書き直すたびに翻訳をやり直さなければならない)
- 著者と翻訳者チームとは個人的にも友人であり、本を書くたびに日本を訪ねている著者と、数日間を温泉やリゾート地で過ごしている。
- 翻訳時に原著の誤りを発見するのは、日本の翻訳者チームだけらしい。
簡単に言うと、増補改訂版とはいっても基本的には同じ内容ですから普通なら買わないのですが、チームで議論しながら(楽しみながら)翻訳された日本語版をぜひ読んでみたいと思ったからです。つまり、欲しいのは内容ではありません。デザインの原理原則をチームで楽しくディスカッションしながら翻訳されたものですから、期待が持てます。
ではまた…