森博嗣『孤独の価値』
昨秋テレビドラマ化されたミステリー『すべてがFになる』の作者森博嗣によるエッセイ『孤独の価値』(幻冬舎新書)を読みました。
著者のエッセイを読むのは4冊目ですが、いずれも「ちゃんと考える」ことの大切さが分かり、なかなか勉強になります。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/11/27
- メディア: 新書
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まず第1章「何故孤独は寂しいのか」で、寂しさや孤独を感じる原因が明らかにされます。(著者の仮説ではありますが)
続く第2章で、なぜ「寂しさ」や「孤独感」がそんなに怖れられるのかが考察されていきます。本書における著者の主張ポイントは、第2章に書かれた下記の2箇所に集約されると思います。
どちらの状態が良くて、どちらが悪いというものではなく、賑やかで楽しい時間も、静かな寂しい時間も、いずれも必要なのではないか。そして、どちらかに偏ることのない変化こそが、まさに「生きている」という面白さ、醍醐味であって、苦しみのあとに楽しみがあり、賑やかさのあとに静けさがある。その変化こそが、「楽しさ」や「寂しさ」を感じさせるともいえる。(p65)
みんなと同じことをしなければならない。学校へ行ったら一人でも多くの友達を作らなければならない。力を合わせみんなで成し遂げることが美しい。感動とは、みんなで一緒に作るものだ。それが、現代の「良い子」たちである。大勢が、「感動」をもらおうと口を開けているヒナのように見える。自分の頭の中から湧き出る本当の「感動」を知らない。誰もいないところで、一日中ただ一匹の虫を見ているだけで、素晴らしい感動が得られることを体験することができないのだ。(p80)
要は、孤独や寂しさはあって当たり前だということ、それから、孤独や寂しさを感じるのはよくないことだと気づかないうちに洗脳されているんだということです。
以後、第3章では孤独は人間にとって大切で価値のあること、第4章では孤独が良い作用をもたらす理由、最後に第5章で孤独を受け入れる方法、と続いていきます。
本書には、孤独に悩む人に対しての単純明快な解答や孤独から解放される特効薬のような方法は書かれていません。しかしながら、むしろ孤独は価値あるものであると認識させられるという、どちらかというと孤独を好むタイプの私には勇気づけられる本でした。
ではまた…
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