ガイ・P・ハリソン『Think 疑え!』
霊能者は本当に存在するのか? ホメオパシーなどの代替医療に効果はあるのか? アポロ宇宙船の月面着陸は捏造だという説を信じるか?
世の中にたくさんいる詐欺師や、誠実だけどトンデモない勘違いをしている人たちに翻弄されて、金銭詐欺にあったり、助かる命を縮めることにならないようにしなければなりません。
自分は大丈夫だと思っていても、信頼する友人が「幽霊を見た」「占星術が的中した」と言ってきたときはどうでしょう? 権威ある人物や尊敬していた人が、「すごく効き目のある薬ができたから買ってくれないか」と言ってきたら、どう対応しますか?
どんなに賢い人でも、悪質な詐欺、怪しげな宗教、不合理な疑似科学に騙されてしまうことがあるようです。
- 作者: ガイ・P・ハリソン,松本剛史
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書は、人に騙されたり間違ったことを信じたりしないための「懐疑的思考」の入門書です。「懐疑的思考」とは、証拠・ 論理・合理性に基づいて「科学的」に判断する思考法のことで、けっして他人の話を何でも否定的に捉えるということではありません。
著者は、懐疑的思考ができない理由として、家庭や学校で「疑う」ということを教えてくれないからだと言っています。
新聞のテレビ欄を見ると、幽霊やUFOとの遭遇体験、信じられない奇跡の出来事、あの事件は実は陰謀だった!みたいなことなどを、巧みな映像と音声を使って刺激的に紹介する番組にあふれており、科学的に考えないことを助長しているような気もします。
本書では、おかしな思い込みに関する多くの具体例をあげ、それぞれに対して、どのように疑うのが正しい態度であるのか丁寧に書かれています。また、なぜ人間の脳は信じ込みやすいのか、その多様な思考パターンも紹介されています。
もちろん、現代科学では解明できていないことも多いという基本スタンスがありますから、著者は頭ごなしに否定することはありません。「このように考えたら、明らかにそれは疑わしいですよね。絶対に起こらないとは言えませんけど。。。」といった感じです。
もし本当だとしたらどうなるか少し考えてみたら変だと気がついたり、冷静に考えると起こらない方が奇跡的だということなど、「そうだったのか!」と納得できる気づきにあふれています。
私の場合、霊・占い・陰謀説・代替医療などを信じている人に対して「そんなのあるわけない」と論破しようとする悪いクセがありました。そういう方々に対して、どのように接するべきか学べたことが大きな収穫です。
ではまた…
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