青島幸男『人間万事塞翁が丙午』
本書は、タイトルに記憶があったので、中古ショップで発見して買っていたものです。
著者は、40代以上なら間違いなく知っている故青島幸男さん。マルチタレントとして活躍されていたようですが、私の中では、テレビドラマの「意地悪ばあさん」です。「欽ちゃんの仮装大賞」で意地悪ばあさんの扮装をしていた審査員長と言えば分かる方もいらっしゃるでしょう。
Wikipedia等でちょっと調べてみると、放送作家、作詞家、映画監督、国会議員などなど、多彩な活動ぶりがスゴイのですが、高度成長期を歌った植木等の『スーダラ節』を作詞されていたとは知りませんでした。そういえば、石原さんの前任の東京都知事でもあります。
前置きが長くなりましたが、本書は、そんなマルチタレント青島幸男が「直木賞を取る」と周囲に公言して執筆を始めた小説デビュー作で、本当に直木賞を受賞した作品です。タイトルは、故事成語「人間万事塞翁が馬」のパロディで、主人公ハナ(著者の母親がモデル)が丙午(ひのえうま)の年に生まれたことによるものです。
呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋“弁菊”。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出遭いながらも、持前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。ーー戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。(裏表紙より)
本書を誰かに読んでほしくてこのエントリーを書いているわけではありませんので、内容については割愛します。作者が、実家でのエピソードを下敷きに作品化していることから、戦前・戦後の東京下町の人間模様がとてもリアルに感じられて、非常に面白い作品でした。
このブログで、絶版になっている本を紹介することは基本的にないのですが、
ということ(個人的ですみません)もあって、記事にしてみました。
ではまた…