秋山進『「一体感」が会社を潰す』異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体
「組織と人の問題」は、どこの会社でも永遠の課題かと思います。今回、「一体感」というキーワードに釣られて、この本を読んでみました。
「一体感」が会社を潰す 異質と一流を排除する<子ども病>の正体 (PHPビジネス新書)
- 作者: 秋山進
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2014/02/19
- メディア: 新書
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誤解を招きそうなタイトルですが、著者は「一体感」が悪いと言っているわけではありません。コドモっぽい思考や行動、組織のあり方が問題だと主張している本です。
本書は、前半で「個人がコドモ」、「組織文化がコドモ」、「マネジメントがコドモ」の組織の典型的なパターンを取り上げ、後半で「コドモの組織から大人の組織へ」変わるポイントが述べられています。
「個人がコドモ」の組織とは例えば、批評家ばかりの組織、仲間としか仕事をしない組織など、「組織文化がコドモ」の組織とは例えば、自部門の都合を優先する組織、摩擦を回避しようとする組織などです。
高度経済成長期の時代は、むしろこういったコドモの組織の方が、経営者にとっても運営しやすく、経済的にも合理的でした。(らしい)
しかしながら、時代が大きく変わり、現在のような成熟社会においては、競争力の源泉が「標準化力と同質性」から「専門技術力と異質性」へとシフトしているそうです。
このような大人の組織になるためには、
- 個人の「自立」と「自律」
- 目的合理的な思考行動パターン
- マネジメントのプロ化
の三つがポイントだと著者は言います。
本書後半で、その具体的な内容や、そのためにはどうすべきか書かれており、なるほどと納得できる部分が多くありました。
ただ、確かに時代は変化しているとは思いますが、本書で書かれている内容は、「昔でも同じことが言えるのではないか?」と感じます。つまり、大人の組織になるべきという内容はその通りですが、時代の変化とはそれほど関係ない普遍的な真実ではないかと思いました。
もちろん、役に立たないという意味ではなく、まだまだ未熟な個人として、本書はいろいろ考えるきっかけになりました。若手というより、どちらかというと上の層の方向けです。
ではまた…