igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

佐藤優『人に強くなる極意』

佐藤優『人に強くなる極意』(青春新書)を読みました。

地下街の小さな本屋で見かけた本です。私は人に弱いので、タイトルを見て思わず手に取ってしまいました。 

著者の佐藤優さんは、外務省でロシア外交の最前線の仕事をされていた方です。著書である『国家の罠』や『読書の技法』を前に読んだことがあったので、安心して著書買いました。

しかし、「まえがき」で読者に対して、大きく変化しつつある世界には二つの異なったベクトルがあるとして「グローバリゼーションの本格化」と「国家機能の強化」について論じてあり少し面食らいましたが、本編は日常生活や仕事に関わる話で、割と分かりやすい内容でした。(昨年10月の発売後2か月で11刷ですから結構売れてる模様)

 

本書は、目次に示す8つのテーマについて、大きな時代状況の変化に対応できる人間力を強化するための方法が書かれたものです。本の帯には「どんな相手にも ぶれない、びびらない “図太い人”になる頭の使い方」と紹介されています。この本一冊をよんだくらいで簡単に図太い人になれるわけではないでしょうけど。

f:id:igawajp:20141001215448j:plain

(目次)
まえがき
第1章 怒らない
第2章 びびらない
第3章 飾らない
第4章 侮らない
第5章 断らない
第6章 お金に振り回されない
第7章 あきらめない
第8章 先送りしない

どこかで聞いたような内容も多少ありましたが、やはりロシア外交や逮捕・裁判で修羅場をくぐってきた著者ならではの考え方も多く、いろいろためになりました。

なかでも、自分にとって特にヒントになった3つのテーマについて、少し紹介します。

 

びびらない

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という句がありますが、まさによくわからない相手に対して僕らはいろんな想像を働かせる。その想像が恐怖を招きびびってしまうわけですが、その正体を見たら、なぁんだというのは日常的によくあることです。
つまり、びびらないためには、相手や対象を知り、相手の本質や意図を見極めることが重要です。相手の価値観はどのようなもので、どんな意図と論理で行動しているのか。それがわかれば、相手が何をいおうがどんな威圧をしてこようが、冷静に対応できる。(p56)

確かに、暗闇の中とかガサゴソと音が聞こえる時とか怖いのは正体がわからないからですね。相手のことが分かってしまえば、対応のしようがあります。

 

飾らない

結局、飾らない力を得るには、自分が何者であるかを明確にすることです。人間としての根っこがどこにあるのか、国や民族、故郷や家族、心情や哲学……。あなたにはその軸がありますか? 軸がはっきりしているからこそ、虚と実のはざまでどんなに揺れ動いても、飾らない自己、飾らない関係をつくることができる。(p95)

これは少し難しいですね。これが軸だと言えるようなものが私にあるのか分かりません。ここで著者が言いたいのは、相手に対して真摯に向き合って嘘偽りなく等身大の自分で接することがポイントなのだと思います。

 

侮らない

「侮り」って人生の罠のようなものだと思います。得意の絶頂の時、ツイている時、地位や権力を持った時ーー。そんな時に限って心の中にそっと忍び寄る。
怖いのは、自分の中の「侮り」の気持ちに、自分自身はなかなか気がつかないということ。たいてい何かトラブルや躓きが起きてから、ようやく自分はあの時侮っていたなと気がつく。ですから「侮り」とは事後の概念なのです。(p103)

今回、はっと気づかされたのが「侮り」です。得意の絶頂があったわけでもツイている時があったわけでもありませんが、気がつくと罠にはまっていることに幾つか思いあたります。これを避けるのは困難な気がしますが、著者は失敗事例の本を読むとか内省ノートを書くことで、疑似体験・内的体験を積むことをすすめています。

 

おわりに

各章のおわりに2冊ずつ(計16冊)推薦本が紹介してあったので、その中から気になった4冊をピックアップしておきます。 

すべらない敬語 (新潮新書)

すべらない敬語 (新潮新書)

マインド・コントロール

マインド・コントロール

プリズンホテル

プリズンホテル

時間と自己 (中公新書 (674))

時間と自己 (中公新書 (674))