小説は、あらすじや結末を知ってから読む。
よい小説は、読み返すたびに新たな発見や気づきがあったりして、何度も読みたくなるものです。
しかし、初めて読む場合は、あらすじや結末など予備知識なしで臨むことが普通だと思います。
あえて、ストーリー展開や最後のオチを知ってから読もうと思うことは、普通の人では多くはいないでしょう。
特にミステリーの場合は、作者が仕掛けるトリックをあらかじめ知っておくことは、読書の楽しみを大部分失ってしまうことにもなります。
ただ、私の場合、創造力に乏しかったりするために、作者の示すストーリーにうまく入り込んでいくことができず途中でわけが分からなくなったり、特に海外小説の場合は、登場人物の区別がつかなくなったりするため、何度も前のページに戻って読み返すことがあります。
今後は、先日の記事(下記)で書いたように、『カラマーゾフの兄弟』など世界文学作品に少しずつチャレンジしようとしているんですが、必ずあらすじや結末を知ってから読み始めたいと考えています。
池澤夏樹『世界文学を読みほどく』を読んだ(その1) - igawa's Blog
池澤夏樹『世界文学を読みほどく』を読んだ(その2) - igawa's Blog
特に、池澤夏樹さんの『世界文学を読みほどく』に紹介されている作品は、登場人物も多く単純ではないため、あらすじを知っておくことは私にとって挫折せずに読了するための必要条件だと考えています。
以前、岩崎夏海さん(『もしドラ』の作者です)の『小説の読み方の教科書』を読んだときに、小説の読み方として絶対にしてはいけないこととして、「ストーリーの結末を予想しながら読むこと」があげられていました。結末を予想しながら読むことは、小説の中に描かれている大切なものを見落としてしまうからです。結末を予想しながら読まないための簡単で確実な方法が、「初めから結末を知っておく」ということなのです。
そのアドバイスにならって、今後は結末を知ってから読むことにしています。
私はいま、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」(村上春樹訳、ハヤカワ文庫)を読んでいるんですが、ネタバレサイトを先にいくつか読みましたので、あらすじや結末をほぼ完全に知っています。しかも、この小説はミステリーなので、残念ながら事件の真相に関する驚きの部分はあらかじめ知ってしまいました。
しかしながら、この小説はミステリーではありますが、ハードボイルドとしての価値が高いので、逆にストーリーを知っていた方が純粋に読むこと自体を楽しめるような気がしていいのではないかと思ってます。私がよくありがちな読みながら混乱することもなく、村上春樹の文章を味わうこともできそうです。
補足しておきますと、『小説の読み方の教科書』においては推理小説を小説とは認めてないので、推理小説の場合までも結末を知ってから読むようなことは勧めてある訳ではありません。
ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
- 作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/09/09
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