小倉広『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』
ベストセラー『嫌われる勇気』の隣に平積みされている『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を読みました。
アルフレッド・アドラーは、日本での知名度は低いのですが、フロイトやユングと並び称せられる心理学の三大巨頭の一人です。
アドラーの心理学は、新入社員の頃受講して衝撃を受けた研修のベースになっており、また、その後影響を受けたデール・カーネギーの『人を動かす』やスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』の基礎になっているなど、アドラー心理学のおかげで、これまで随分助けられました。
しかしながら、会社での仕事の仕方や家庭問題の解決法など、まだまだ、うまく実践できていない部分も多いので、久しぶりにアドラー心理学系の本を読んでみました。
本書は、組織人事系のコンサルタントである著者が、アドラー心理学を「超訳」し、100の名言集としてまとめ、わかりやすく具体的な例とともに解説したものです。
今回読んでみて、忘れていたこと、新たに気づいた視点など、5つの言葉を書き残しておきたいと思います。
ライフスタイルを変える
怒りなどの感情をコントロールするのは無駄である。
感情は「排泄物」なのだ。
「排泄物」を操作しても何も変わらないだろう。
「怒りをコントロールする方法」などの本が注目を集めていますが、アドラーは感情をコントロールすることを否定しています。感情はライフスタイル(=性格)による排泄物でしかなく、その排泄物を操作しても結果は何も変わらない、ライフスタイルを変えることで、おのずと感情も変わると、アドラーは言っています。
信頼関係を築く
間違いをわからせるには、親しみのある話し合いをすればよい。
大切なのは、それができる信頼関係を築くことだ。
相手の問題行動を直すためには、叱ったり罰を与えたり脅したりする必要はない。信頼関係が築けていれば、簡単な説明や親しみのある話し合いをするだけで、相手はそれを受け入れてくれるということです。
自らに問いかける
人の育て方に迷った時は、自分に質問するのだ。
「この体験を通じて、相手は何を学ぶだろうか?」
そうすれば、必ず答えが見つかるだろう。
この方法は、子育てだけではなく、相手が大人であっても通用する普遍的な法則です。人を育てる判断に迷ったときには、「この体験で相手は何を学ぶか」と自らに問いかけることで、自分がどのように振る舞うべきか答えを見つけることができると言っています。
他の人を喜ばせる
苦しみから逃げ出す方法はたったひとつ。
他の人を喜ばせることだ。
「自分に何ができるか」を考え、それを実行すればよい。
著者の小倉さんは、「家族」「友人」「同僚」「顧客」に対して、毎朝思いついた「相手を喜ばせる方法」をリストアップしていき、できる範囲からそれを実行しているそうです。相手を喜ばせ、感謝の言葉をもらうほど幸福感を感じることはないと言います。
能力不足と相手の価値とは何の関係もない
失敗や未熟さを指摘してはいけない。
できないからといって取り上げてもいけない。
相手の勇気を奪ってしまうからだ。
自ら困難を克服する機会を奪ってしまうのだ。
相手ができないのは、現段階ではまだ能力が不足しているからです。しかし、能力不足と相手の価値とは何の関係もありません。できないからといって、相手が自らの価値を否定されたと感じるような言葉を使うべきではないということです。
おわりに
本書は、見開き2ページに1つの言葉が書かれていて、大変読みやすくなっています。パラパラっと気軽に読めるという点でいい本だと思いますが、「嫌われる勇気」など他の書籍でアドラー心理学をある程度知っているほうが、それぞれの言葉が心に染み入るのではないかと思います。
(参考記事)
「嫌われる勇気」〜自己啓発の源流「アドラー」の教え〜 - igawa's Blog