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Hagex「ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」

Hagex「ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」を読みました。 

ネット釣り師とは

2ちゃんねる」「発言小町」「Twitter」など、インターネット上で自由に投稿できるサイトには、必ずと言っていいほど、「釣り師」と呼ばれる人間が存在します。

「釣り師」というのは、

創作文や嘘の内容をネット上に投稿し、読者を「釣る」(=騙す)ことを目的とした、よくいえば「クリエイター」、悪く言うと「嘘つき」

のことを言います。

釣り師が活躍すると、そのウェブのサービスは間違いなく盛り上がります。なぜかと言うと、釣り師の投稿は面白いからです。釣り師の投稿が増えると、続きが読みたい、私も投稿したい……と、人々が続々と集まってアクセスが増えていきます。つまり、人が集まる掲示板には必ず釣り師が存在しています。

なぜ釣りをするのか

多くの釣り師たちは、金銭的な見返りがないにもかかわらず,時間をかけてエピソードを創作し、文章を整え、掲示板等に投稿します。創作エピソードを投稿するのは面倒な作業で、人々を惹きつけるにはストーリーは面白くないといけないし、リアリティがないと嘘だとバレてしまいます。なぜ、わざわざ時間を割いてまでネット上に偽の内容を投稿するのでしょうか?

なぜ彼らはそこまでして釣りを行うのか、著者は4つの動機があると言います。

  • 人から注目されたい
  • いたずら・ストレス解消・暇つぶし
  • 自分の文章力・釣り師としての実力を試したい
  • 金銭をもらっているため

本書は、そんな釣り師たちが投稿するエピソードを見破るための技術について書かれたものです。嘘の情報に騙されないように情報の真贋を見抜くトレーニングになるだけでなく、掲示板やWebサービスに投稿された文章を今まで以上に楽しむことができるようになるので、ぜひとも身につけたい技術です。

 

「釣り」を見破る技術について書かれているとは言っても、著者は「釣り師」を否定しているわけではありません。彼らの活動のおかげで、ネット掲示板が盛り上がるようなエンターテイメントを無償で提供してくれているのですから、むしろ歓迎しています。だからといって釣り師の思惑どおり騙されるのも悔しいので、投稿された文章を釣り師の文章だと分かればこちらの勝ち、騙されれば釣り師の勝ち、というように「釣り師との一種の戦い」であると著者は位置づけています。

釣り師の例文

釣り師の文章を見破る具体的な技術は本書を読んでいただくとして、ここでは一つの例文を紹介します。(「発言小町」に投稿されたものと仮定)

「夫の育児・家事手伝え攻撃にうんざりです」

結婚3年目、夫がリストラをされてしまいました。

私が現在大黒柱として、一家を支えているので、金銭的な不安はありませんが、夫から家事と育児をもっと手伝えと言ってくるのが苦痛です。

私は外で、会社のノルマに追われ、顧客の対応し、くたくたになって帰宅します。夫は就職活動をしていますが、基本的に1日中家にいます。

私が外でしっかりお金を稼いでいるので、夫は黙って家事・育児をしっかりして行うべきではないのでしょうか。

そもそも女性の方が男性と比べて、体力が劣るので、もっと気を使うべきですもちろん、夫が働きに出かけたら話は別です。

どうやったら、夫が愚痴を言わずに家庭内のことをしっかりやってくれるでしょうか?

この投稿を読んで、うっかり「そうだそうだ、夫は愚痴を言わずに頑張るべきだ」といった返信をすると、まんまと釣り師に騙されたことになります。このトピックには、釣り師が使う典型的なテクニックが使われています。分かりますか?(ネタばらしはしないでおきます)

おわりに

もともと疑り深い私でしたので、騙されないという自信はあったのですが、本書を読んで、自分の考えが甘かったことが分かりました。

釣りを見抜く技術を知ることができただけでなく、自分がブログを書く上で、取り上げるテーマによっては注意しないといけないことが分かったので、そういう意味でも有益でした。

 

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