日垣 隆「ラクをしないと成果は出ない」
先日、職場で考えたことを元に「ラクをしないと成果は出ない」という記事を書きました。それと同じタイトルの本をもっていますので、再読してみました。
5年ぐらい前、この本(単行本)を購入したのは小飼弾さんのブログを読んだのがきっかけです。
404 Blog Not Found:これぞ真打ち - 書評 - ラクをしないと成果は出ない
本書の構成は、一項目の例外もなく見出し、本文、そしてPOINT!で2ページとなっているが、本文中には最近の自己啓発書でよく目にする重要部分を太字にしたり、あまつさえ大きなフォントで強調というところが一切ない。そうする必要がないのは、文章力と構成力の賜物。プロのライターの面目躍如だ。いいことが書いてある自己啓発書は少なくない。文章がうまい自己啓発書もまた少なくない。しかし、両方を兼ね備えているものは実に少ない。
べたぼめですね。この書評に影響されて買ったのは間違いありません。
自己啓発書の類いは結局同じことが書いてあるので、保存しておく価値のある本はそんなに多くありませんが、本書はブックオフ行きにならず本棚に残っていました。初読のときは、それなりに得るものが多かったのでしょう。
しかしながら、5年を経て改めて再読してみると、ビビっとくる箇所はそんなに多くはありませんでした。考えてみると、それは不思議なことではなく、
- ここ数年、ビジネス書はかなり読んできたので、既に知識として身に付いている
- しかも現在、以前よりも仕事の環境が厳しくなったこともあり、書かれているノウハウの大部分は実行できている(もちろん全部ではありませんが)
- さらに、ノウハウ本を批判的に読む態度が養われてきた
からだと断言できます。これから何度も読み返し血肉化していく本ではないということが分かったので、ブックオフ行きとします。
誤解のないように補足すると、これはあくまでも私という個人の場合であって、決してダメな本という訳ではありません。社会人として仕事を始める方、ビジネス書はあまり読んだことのない方、真面目に働いているが成果の出ない方には最適な本だと思います。
とはいえ、現在の私にとっても参考になった箇所もありましたので、引用メモを残しておきます。
6「外部の人に自分の仕事のおもしろさが伝わらなければ、それはつまらない証拠」
普段まるで話をしていないと、いざというとき相談できなくなってしまいます。リストラされそうになった、急な転勤を命じられたというとき、妻にそれを告げると、「じゃあ、辞めれば?」とあっさり結論を下されたり、「あっ、そう」と軽く流されたりします。
この仕事にどれだけ力を注いでいるか、自分は職場でどういう役割を果たしているか、(中略)などというディテールは、毎日話をしていないと伝わりません。
悩みを打ち明けるには、共通の基盤が必要ですから、普段、仕事についてしゃべらないでいると人生についての相談もできないという状況まで引き起こす可能性があります。
76「よほどゆとりがない限り、正義に多大なエネルギーを注がない」
格差をなくすのは無理です。絶対的な世界平和も無理です。アフリカの貧困をなくすのも、環境問題を100パーセント解決するのも、いじめの撲滅も不可能です。
だから何もせず、傍観していろというわけではありません。見過ごしていたら悪くなるに決まっているわけで、何かしら行動はすべきでしょう。
それでも「壊滅する、ゼロにする」という正義をふりかざしてはいけません。
99「子ども部屋より書斎を優先するのが、家族のためになる」
朝から晩まで働いた大人がじっくり思考できる場所より子ども部屋を優先するのは、自分の人生を否定する行為。自分の人生を否定している人に、子どもという他人の人生に投資する資格はありません。
(中略)
あえて書斎を優先し、自分の居場所と威厳を保つ。すると子どもの目には「大人になったら、ああいうことができるのか」と映ります。「早く大人になりたい」と子どもに思わせる姿を見せることは、高価な品を買い与えるよりずっと有効な教育です。
第99項は、時すでに遅し ですが・・・
ところで、100項目の中に、先日自分がブログで書いた趣旨の内容があったかというと、ぴったりフィットするものはありませんでした。まあだからどうだというわけでもありませんけど。
100項目といえば、別の本を昨年読みました。
日垣さんの本を「仕事の知恵」とすれば、松浦さんの本は「心の知恵」です。こちらも再読してみます。