アーサー・ベンジャミン「暗算の達人」
大学で数学は勉強しましたが、計算は苦手なので「暗算の達人」を読みました。
- 作者: アーサー・ベンジャミン,マイケル・シェルマー,岩谷宏
- 出版社/メーカー: ソフトバンク クリエイティブ
- 発売日: 2007/02/28
- メディア: 単行本
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本書は、大学の数学の先生でプロのマジシャンでもあるアーサー・ベンジャミン博士が、複雑な計算を信じられないほど速く簡単に行う暗算の技術を、はじめの一歩から分かりやすく解説したものです。
まずは第0章に、下の写真(本の帯)にあるような、やさしい暗算術が紹介されています。これは特殊なパターンで、私も知っていました。
<11を掛ける掛け算>
<十の位が同じで、一の位が足して10になる数の掛け算>
本編は、基本となる第1章の「足し算と引き算の暗算」からスタートし、最後は最も高度な5桁×5桁の掛け算の世界まで連れて行っていただけます。本を読めばすぐにできる訳ではなく訓練が必要ですから、さすがに私も、3桁×3桁の掛け算になるとついていけなくなりました。
とはいえ、2桁×2桁の掛け算、2桁の数の三乗の計算は何とかできそうなので、脳トレとして訓練したいと思います。
ちなみに、2桁の数の三乗は、A×A×A=(A-d)×A×(A+d)+d×d×A という式を利用します。つまり例えば、51×51×51の場合はA=51, d=1として(計算が簡単になる50を作るのがポイント)、50×51×52+51を計算すればいいことになります。(それでも大変な計算ですけど)
本書で著者が紹介する暗算ができるようになるには、二つの大切な原理を知っておく必要があります。
一つは「左から右へ」
人間はふつう、数を左から右へ読みます。なので数を頭の中で考えたり計算したりするのも、左から右の方が自然です。筆算で右から左へ計算するときは、答えを数の自然な方向ではなく逆の方向で作ります。不自然で無理なやり方は、暗算の大敵です。
もう一つは「単純化」
大きな問題をやさしい小さな問題に分解して問題を単純化することです。本書の全体がこの原理に貫かれていいると言っても、過言ではありません。どのテクニックも、この原理の応用です。
実は、本書で最も難しい「5桁×5桁の掛け算」であっても、この原理の応用でしかありません。そこまではできなくても、本書を読んで暗算の基本原則がよく分かったので、ちょっとした計算(3桁の足し算とか)は自信をもってできるようになりました。
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本書でのテクニックを駆使した、ベンジャミン先生の数学マジックが観れる動画(日本語字幕付き)です。数あるTEDプレゼンテーションの中でも、アクセス数の多い人気コンテンツのようです。(「TED」とは何かについては、以前のエントリーを参照ください)
この動画は、以前紹介した下記の本でも紹介されていました。