igawa's Blog

おもに読書と本に関するブログですが、Mac/iPhone、数学、音楽の話題など例外の方が多いかもしれません。

中川恵一「がんの練習帳」

先日のエントリーで、中村仁一さんという医師が書いたベストセラー「大往生したけりゃ医療とかかわるな」を紹介しました。

「死ぬのはがんに限る」と主張するこの本を読んで思い出したのが、 本書「がんの練習帳」です。2年ぐらい前に読んでいたのですが、これを機会に再読しました。 

がんの練習帳 (新潮新書)

がんの練習帳 (新潮新書)

 

がんというのは不治の病というイメージがあるし、いやでも死を連想するような本を紹介するなんて縁起でもないと思われるかもしれません。しかし、高齢化社会となったいま、日本人の3人に1人ががんで死ぬわけですから、避けて通らずに正面から向き合って予習しておくことも必要ではないでしょうか。

本書、『がんの練習帳』は、読者のみなさんにがんを「練習」して頂くために書いたものです。がんとはいったい何者か、がんにならない生活とは、早期発見のためのがん検診の大切さ、がんと言われたときの心構え、治療法の選択のコツ、がん治療にいくらかかるのか、がんの痛みとのつきあい方、などなど、実用的な情報を、読者の目線で、分かりやすくお話しします。 (まえがきより)

本書は、練習1(第1章に相当)で、がんの基礎知識が紹介されたあと、練習2から練習6まで5つの闘病記がケーススタディとして、例えば、

  • 「もしも自分がこういう立場になったら」
  • 「もしも家族ががんになったら」

ということが体感できるように、物語仕立てになっています。具体的には、

  • 練習2 働き盛りに告知されてーーー「肺がん」闘病記
  • 練習3 切除か温存か、仕事か治療かーーー「乳がん」闘病記
  • 練習4 男性機能と治療の両立ーーー「前立腺がん」闘病記
  • 練習5 余命と抗がん剤のイタチごっこーーー「直腸がん」闘病記
  • 練習6 最期をどう迎えるか

という5つの事例を読み物として体験することで、がんにかかる前にイメージトレーニングをすることができました。通常は初めて経験することになるわけですから、事前に練習しておいて損はしないはずです。実際にがんと言われても、あわてずに対処できるのではないでしょうか(たぶん)。

闘病の物語を通じて、がん細胞の特徴、抗がん剤治療などの知識と選択方法、がん検診やセカンドオピニオンの重要性、などさまざまな知識が得られますので、読んでよかったと思える一冊です。

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)