igawa's Blog

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「P2M」とは何か? 〜日本のプロジェクトマネジメント〜

プロジェクトマネジメントに関する日本の知識体系「P2M」をご存知ですか?

「P2M」とは 

「P2M」とは、Project and Program Management の略で、2001年に経産省が日本オリジナルの「プロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック」として発行したものです。日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が普及を担当しています。

 「PMBOK」との違い

プロジェクトマネジメントの世界では、米国のPMBOKが圧倒的に有名です。

PMBOKでは「プロジェクト」のマネジメントを対象としていますが、P2Mではプロジェクトに加えて「プログラム」のマネジメントも含まれます。ここでいうプログラムとは、戦略的ミッションのもとに全体システムとして総合管理されるべき有機的に結びついたプロジェクト群のことをいいます(この概念はとても難しい)。

プロジェクトマネジメント(PMBOK)は、与えられたプロジェクトを「どうやって」うまく完遂するかに焦点をあてたものです。一方、プログラムのマネジメントを含むP2Mは、組織や利害の枠を超え全体最適の観点からプロジェクト(通常は複数)を企画し(Why)、関係者を巻き込んで実行(What)し、軌道に乗せ運営(How)するまでの構想段階から運用フェーズまでカバーしています。

PMBOKが劣っているという訳ではありません。

どちらかというと、P2Mは事業の企画者・発注者や責任者向け、PMBOKは、実施者・受託者や担当者向けと考えると分かりやすいかもしれません。お客さまに対する付加価値の提案など、モノ作りだけではなく新しいアイデアや活用方法も考慮するような仕事にはP2M、与えられた仕様に基づいて製品開発を行なうような、目標が明確な仕事にはPMBOKという言い方もできると思います。

P2Mの資格「PMS

P2Mには、4つの資格があります。(下位のレベルから記載)

  • プロジェクトマネジメント・コーディネーター(PMC)
  • プロジェクトマネジメント・スペシャリスト(PMS
  • プロジェクトマネジャー・レジスタード(PMR)
  • プログラムマネジメント・アーキテクト(PMA)

最上位のPMA資格試験は(なぜか)まだ実施されておらず、PMR保有者もまだ少数、PMC資格は(たぶん)簡単すぎるレベルです。今のところ実質的には「PMS」だけがP2Mの資格といっていいので、ここでは「PMS」資格の紹介をします。

PMS資格試験は、100問の問題を四肢択一により解答する筆記試験(150分)で、新版P2M(下記Amazon参照)に記載されているプロジェクト及びプログラムマネジメントに関する知識が問われます。

PMS資格認定登録者は、PMに関する知識レベルの維持・向上及び最新知識の習得が必要なため、5年ごとに資格更新を行う必要がありますが、5年間で必要なポイントの取得はそんなに難しくありません。PMS資格をもっている私も既に2度更新しました。

それで結局何が言いたいのか 

プロジェクトマネジメントの世界では、 PMBOKをベースにした「PMP」がメジャーであり、日本でも資格保有者の数はPMSの比ではありません。おそらく現在も、多くの企業(特にIT業界)でPMPの取得を推進されていて、P2Mの学習及びPMSの取得は眼中にないようです。というか、そもそも存在が知られていないという惨状です。

実は私は、九州P2M研究部会に所属しているんですが、近年PMS資格試験が九州では開催されておらず、資格保有者がほとんど増えません。年4回開催される研究部会での出席者も、発足以来ずっとほぼ固定メンバーの5〜6人で増える見込みもなし。このままでは、九州の研究部会は消滅してしまうんではないかと危惧しております。(私も個人的事情で最近出席できてませんが)

PMAJさん、何とかしてください。

 

って、他者依存の考え方がよくないんですけどね。ほんとは。

 

新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック

新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック