「愛するということ」エーリッヒ・フロム
新聞のテレビ欄を何気なく見ていたら、NHK教育の「100分de名著」という番組でエーリッヒ・フロムの「愛するということ」が取り上げられることを発見しました。
この本は、ずいぶん前に買ったまま読まずに本棚に眠っているはずだったので探して見てみると、1991年3月に発行された新訳版の第3刷(91年10月)を持っていました。学生時代に買った本かと思っていましたが、年月から判断すると、社会人になってから入手したもののようです。それにしても、20年以上ほこりをかぶっておりました。
今日だけでも番組を観れば読むきっかけになるだろうと思って、第1回を観てみることにしました。しかも、ゲスト(解説者)は、この本の翻訳者でもある鈴木晶さん(法政大学教授)でしたので、番組の内容も間違いないはずです。
第1回のタイトルは「愛は技術である」。
いかにも週刊誌にあるような、異性に好かれるテクニック的なことのように思われます。実はそうではなく、愛されることよりも愛する技術の方が重要だということです。そもそも、原題は「The Art of Loving」なので、まさに「愛の技術」なんです。
愛というのは自然と沸き上がってくるものだという気がしますが、けっして生まれつき備わっている能力ではなく、練習しないとできるようにはならないものだというのが、この本でのフロムの主張だそうです。
愛に関して、多くの人が誤解していることは、
- どうすれば愛される人間になるのかが重要だと思っている。
- 愛すべき人がいないのではなく、自分が愛する技術を持っていないのである。
- 情熱的な感情を永続的な愛情だと勘違いしている。
なるほど、言われてみるとそうかもしれないとは思えますが、確かに通常の感覚とは違うのではないでしょうか。面白い。
もっと難しそうな内容かと思っていたので、本棚から手に取ることもありませんでしたが、相手(本)の全貌がつかめましたので、もう制覇したも同然です。さっそく読んでみることにします。
最後に、参考までに裏表紙に書かれている文章を引用しておきます。
愛とは、孤独な人間が孤独を癒そうとする営みであり、愛こそが現実の社会生活の中で、より幸福に生きるための最高の技術である、とフロムはいう。ところが私たち現代人は、愛に渇えつつも現実には、そのエネルギーの大半を、成功、威信、金、権力というような目標をいかにして手に入れるかに費やし、愛する技術を学ぼうとはしない。人間砂漠といわれる現代にあり、<愛>こそが、われわれに最も貴重なオアシスだとして、その理論と実践の習得をすすめた本書は、フロムの代表作として、世界的なベストセラーの一つである。
- 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1991/03/25
- メディア: 単行本
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【追記】3/18付けのエントリー
エーリッヒ・フロム「愛するということ」(鈴木晶 訳、紀伊国屋書店) - igawa's Blog